日本語版オーバーウォッチの翻訳作業は一人で。西尾勇輝氏に聞くローカライズ裏話
スクウェア・エニックス ローカライズディレクター西尾勇輝氏にGame*Sparkが取材しています。同氏が行った日本語版オーバーウォッチのローカライズについてコメントしている内容一部紹介します。
――ローカライズが進み始めた際は、どのような作業を行っていましたか。
西尾: まず、台本の翻訳をひとりですべてやっています。発売前には一次翻訳として外注していたこともあるのですが、噛み合わないこともあったので、結局セリフは自分でやることにしました。画面上のテキストなどは他の翻訳者さんの力も借りています。
あとは、キャスティングや収録の際のディレクション、他にも前述の担当者と協力してBlizzardから届いた新情報をPR担当に共有したり、プロジェクトマネージメントなんかもやりますね。最近はイベントや生放送で解説などもしています。
――まさに「なんでも屋」ですね。
西尾: パッチが出る度にユーザーインターフェースが変わってローカライズが必要になる、ということもありますしね。発売以降の翻訳はひとりでやっています。
――セリフやUIなど、特にローカライズに苦心したヒーローはいますか。
西尾: どれも辛かったです(笑)。その中でも、やっぱり「ハンゾー」ですよね。「龍が我が敵を食らう」というセリフが日本であんなに取り沙汰されるとは思ってなくて、別のセリフも考えていたんですけど、もはや変えられなくなっちゃったり。「ハンゾー」は一人称についても迷いました。未来が舞台なのに「拙者」は変かな、って。
――「トレーサー」のセリフを始めとした意訳についてお聞かせください。日本語版では「ヤッホー!私に任せて!」というセリフがありましたが、英語版では「Cheers love!The Cavalry's here!」でしたね。
西尾: やっぱりそこなんですよね(笑)。英語で直訳すると「騎馬隊が来たぞ!」ってところですが、なんのこっちゃ!じゃないですか。この「騎馬隊」は「援護する者」という意味合いになるんですが、そのちょっと変わった言い回しにこそ「トレーサー」のイギリス出身らしさが出てきているんですよね。
これが英語版のすごいところですよ。どう翻訳してもこの雰囲気は持ってこられないと思ったので、せめてキャラクターらしさだけは近付けようと「ヤッホー!私に任せて!」にしました。口パクの尺もビックリするぐらい合いましたし(笑)。
過去に西尾氏はTwitterでもオーバーウォッチ ローカライズに関するファンの質問に回答しています。
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